第三者評価の講評を書くにあたってのルール一例

こんにちは、Web担当です。

第三者評価の講評の文章については、いろいろな決まり事があります。

読む方には特に意識する必要のない内容かもしれませんが、もしかしたら、「なんか不自然な言い回しだなぁ」と思われている一文は、ルールのために遠回りしているのかもしれませんよ、とお伝えしたくてこの文章を書いています。

「講評はこんなことを考慮しつつ書いているのか」と、参考までに聞いていただければ幸いです。

固有名詞・地名は使えません

そうなんです。固有名詞と地名は原則的に使えません。

これによって、不自然な文章になることがあると思います。

商品名

固有名詞は使えないルールになっています。

気をつけるのは、商品名ですね。有名な単語で私の領域で使われそうな単語には、

  • ホチキス
  • 絆創膏
  • サランラップ
  • ジップロック
  • タッパー
  • デジカメ
  • セロテープ
  • シャチハタ
  • ポストイット
  • 宅急便

などがあります。

もちろん、新聞や雑誌の名前も使えません。私から執筆した評価者に修正依頼をしたことがありました。

ちなみに、商品名を使ってはいけない根拠は、「商品の宣伝になるから」だそうです(評価機構談)。国民から視聴料を直接集金するTV局のような理由です。

地名

高齢分野ですと、気をつける必要はあっても、そんなに困ったことは起きないように感じますが、未成年を利用者とする分野はかなりお困りのようです。

固有名詞と地名が使えないと、こんなことが起こります。

とあるテーマパークに触れようとすると…

「本州の湾岸部に位置する世界的に人気のテーマパークの日本支部で、日本国内でもっとも観客動員数がもっとも多い所」

みたいな記述になります。

どこのことか、分かりますか?

東京ディズニーランドです。千葉とも言えないのはキツイですね。

ひと言でズバッと言えないために困るという声が多かったのでしょう。「東京ディズニーランド」は特別に使用許可が出ました。

しかし、TDLという略語はダメなんです。他のテーマパークもダメなんです。

「日本が生み出し、いまや世界的に人気のある頭にリボンを付けた白猫のキャラクターなどが登場する、都内の西部地域にあるテーマパーク」は、固有名詞が使えません。キティラーも多いかとは思うんですが。

SNSでは分かりません?

略語については、明確な基準があるわけではないようですが、やはり慎重にならざるを得ません。

おそらく、使っても問題がないのは、NPOくらいではないでしょうか。

最近では、事業所でWebサイトやTwitterを使う事例も増えてきました。「情報の提供」の部分で触れることになるわけですが、それらをひとまとめにして「SNS」と書いたところ、評価者同士で待ったが掛かりました。

「さすがにこれはすでに浸透している言葉ではないだろうか」
「いや、知らない人からしたら、意味がまったく分からないだろう」
「ソーシャル・ネットワーキング・サービス (Social Networking Service )の略と書いたほうが意味がわからなくなりそうだ」
「厳密に言うなら、Twitterも使えない用語であるから、SNSと表現したほうが良いのではないか」

…など、意見を交換しました。

結果、「SNS」は使用しても問題がないことを確認しました。

FAQとは?

さて、このサイトを構築する際に、「よくあるご質問」ページのタイトルを付ける段になって、少々迷ってしまいました。

Webサービスを利用する機会の多い私は、最初、「FAQ」と書いてしまったのです。メニューバーに表示するにも、文字数が少ないほうが便利なので。

ところが、ふと不安になり、ボスに「FAQがどういう意味か分かりますか?」とたずねると、案の定分からなかったのです。

FAQは、 Frequently Asked Questions の略。よく聞かれる質問という意味です。

「じゃあ、日本語のままで良くない?」と言われ、その通りだなと思いました。

「アジェンダなどと言わずに、議題って言えばいいのに」と言っている私が似たようなことをしてしまって、反省。

今この原稿を書きながら思うのは、普段使用することがあり注意を要する単語はたくさんあるということ。アイデンティティ、 エビデンス、 コンセンサス、コンテンツ、スケール、リテラシー、リソースなど。80歳代以上の方々に「プライバシー」という概念を説明するのも、実に難しい。今年は、ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術) をどう扱うかも頭を捻りました。

これらのカタカナ語や略語を目にする機会は増えましたが、言葉が市民権を得たか見極めるのは難しいです。

  

とまあ、こんなふうに、評価者も単語の一つひとつに注意を払いながら仕事をしているというお話でした。

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