「福祉サービス第三者評価事業」(以下、第三者評価)を受審されるのが初めての方、そして受審経験のある方も、「第三者評価」とはどんな制度であるか、受審される前にをもう一度おさらいしておきましょう。

事業所と利用者を結ぶ制度です

福祉制度のあり方が、かつての措置制度から、利用者が事業所を選択して契約する制度へと転換されたことは、このページを訪れた方であればきっとすでにご存知のことでしょう。

これからサービスを利用しようとする方が、数あるサービスのなかから自分に合ったものを選択するためには、どのような事業所があり、どのようなサービが行われているかを知ることができる環境が必要です。

一方で、社会福祉サービスを提供する事業所は、提供しているサービスの質の評価や情報公開が法律によって定められています。

社会福祉法 第24条
(経営の原則)
社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。

社会福祉法 第75条
(情報の提供)
社会福祉事業の経営者は、福祉サービス(社会福祉事業において提供されるものに限る。以下この節及び次節において同じ。)を利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう努めなければならない。

社会福祉法 第78条
(福祉サービスの質の向上のための措置等)
社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。

つまり、情報を公開する側と情報を求める人をつなぐ制度として「福祉サービス第三者評価事業」が設置されています。

東京都が実施している第三者評価では、事業所でも利用者でもない第三者である評価機関が、サービスの内容・質、事業所の経営・組織マネジメント力などを評価いたします。利用者となる都民の情報公開のニーズに応えるとともに、事業所の質向上へと資することを趣旨とした評価項目にのっとって評価いたします。

調査に当たるのは専門家である評価者です

第三者評価を請け負う評価機関は、東京都福祉サービス評価推進機構(以下、機構)の認証を受けています。第三者評価で調査の実務に当たるのは、評価機関に所属している評価者です。いずれも機構の定める要件をクリアした経歴の持ち主で、養成講習を受講し、試験を受け、資格を与えられた専門家です。
監査ともコンサルタントとも違う独自の立場で、調査に当たります。

評価者は2名ないし3名、必ず複数が担当いたします。評価者は単独で評価を行うことはしません。それぞれの評価結果を持ち寄り、担当評価者全員で合議した後、事業所に評価結果を提出いたします。

詳しい受審の流れについては、「サービスの流れ」でご説明しておりますので、ご一読ください。

点数制ではありません

あらかじめ標準評価項目というものが定められており、評価者はそのすべての項目について、1つずつ実施されているか否かをチェックしていきます。日常の記録や日誌、月報などを確認させていただいたり、担当者から直接お話を聞かせていただくことで確認してまいります。

とうきょう福祉ナビゲーションの評価結果ページをご覧いただくと、どんな評価項目があり、どのような形式で評価結果を公表されているか確認することができます。

ここで、ご注意いただきたいことがあります。

評価結果は点数で表示されるものではないということです。

法人や事業所が定めた理想・目標に照らしてみて、現状はそれに適っているだろうか、理想に向けたプロセスにいるだろうか、という点を評価者は見ていきます。

目標が更新されて新しくなったときは、達成度が下がっている時期があるかもしれません。しかし、目標を更新する活動が行われたこと、さらに上を目指し発展していっている途上であることを、評価してまいります。そしてそれは、●印には現れないので、「講評」のなかで言葉でもって表現します。

最終目標は事業所の質の向上です

制度上は、評価結果を事業所と評価機関が合意し、とうきょう福祉ナビゲーションの第三者評価のページに掲載されるところでゴールです。

ここから先は義務付けられているわけではありませんが、評価結果はこれからの事業所運営にぜひお役立ていただきたいのです。それは、制度の趣旨であると同時に、調査に当たる私どもの心からの願いでもあります。

評価の受審によって、事業所の特色や長所、弱いところが洗い出されます。事業所の理念と現状のギャップが明らかになることもあります。

そこから改善につながる「気づき」がいくつも得られることでしょう。あるいは、強みで自信を得ることもあるでしょう。

受審にあたっては、お忙しい日々の業務の間をぬって準備していただくこともあると存じます。その作業を「大変だったな…」という気分だけで終わらせず、次のステップへとつなげていただけると幸いです。

実際に、今まで関わらせていただいた事例で、評価結果を職員で共有し、次年度の課題として取り組んでくださっている事業所もあります。再度訪問した際に、前回の評価で指摘した事項が改善されているのを、目の当たりにすることもあります。

事業者の方に意味のある受審だったと思っていただけるよう、私どもも真摯に取り組んでいく所存です。

参考リンク

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