70~80代の人が読みやすい文字の大きさは?


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読み手が読みやすい文字サイズを意識されていますか?

読んでほしい文章ほど、読みやすい文字の大きさを意識したほうが良い。それは同意していただける方が多いと思うのですが、あなたが作っている文書、あなたの所属する法人がお客様に向けて作っている文書の文字サイズは、どうでしょうか。

いますぐフォントの大きさを言えますか? それなら、次の見出しまで進んでください。

「フォントの大きさ? 気にしたことないけど」
「大きさがいくつか分からない」

という方は、いったん作成したデジタルファイル(Wordファイルなど)を見て、フォントサイズを記録しておいてください。まずは現状をチェックしておきましょう。

今日は、高齢者に適した文字サイズのお話です。

高齢者施設の掲示物が気になった

第三者評価の施設訪問では、事業所内のさまざまな場面を見せていただきます。

高齢者施設では、廊下に掲示している献立表を真剣に見つめている様子をお見掛けすることがあります。献立表は、小学校でもみんなの注目の的でしたが、高齢者施設でも関心を集めている掲示物です。

模造紙に太いマジックで手書きされている献立表を見ると、ああ…高齢者でも読めるように配慮されているんだなと思います。そこに季節を現す折り紙やイラストが添えてあると、食と季節を結び付けて捉えつつ食事の雰囲気を大切にされているのだなと感じます。

一方で、ぱっと見、献立表かどうか分からないものもあります。

掲示文書というより配布文書みたい…個人情報保護方針などの他の掲示物と紛れているような…。これ…10ptの明朝体かな。80代の人はこれをちゃんと読めるのかな?

そんなことを思った献立表がありました。

明朝体10ptが初期設定かもしれないけれど

Wordで文書を作るとき、初期設定のMS明朝10ptで作る人もいるでしょう。

私の仕事関係者(老眼は多少あるかもしれないが白内障ではない人たち)でさえ、それでは読みにくいという声が上がりますので、可能であればMS明朝はやめたほうがいいです。MS P明朝も使わないほうが賢明です。そして、前にも書きましたが、游明朝はプロポーショナルであってもダメです。あえて強く言いますが、特別な意図がない場合は掲示物に使ってはいけません。そのフォントでは読めないからです。

最近のWindowsには、視認性の高いユニバーサルフォントがいくつもプリインストールされていますので、ぜひ使ってみてください。

次にフォントサイズ。

私は、机上で見る文書でも、11~12ptで作ることが多いです。フォントによって、さらに文書によっては変わることもあります。

普段からそんなことを意識しているので、壁に掲示する文書、ましてや80代の人に読んでもらう文書であれば、「明朝10pt」は適していないのではないか…と思ったわけです。

年齢別に適した文字サイズがある

80代の視力には個人差も大きいだろうとは思うのですが、ずばっと「○○ptがいいです」と断定したほうが、法人で共通のルールができて便利そうですね。

そこで、参考となる資料または何らかの指標なり基準があるだろうと考えました。

調べてみると、JIS規格における「年齢別最小可読文字サイズ」というものがあることが分かりました。

それによると、80歳の人に適した文字サイズは、文字の高さが6.7mm。(白背景の印刷物の場合。)

デザイナーではない私たちはミリで言われてもピンと来ませんので、パソコンで使用するポイント(pt)で知りたいですね。

80代の人に適したポイント(pt)は?

JIS規格における「年齢別最小可読文字サイズ」のポイント(pt)換算については、下記のサイトに説明があります。

印刷物作成に役立つ「文字サイズ見本」のダウンロード

上記の資料を参考に、年代別の好ましいサイズを上げると…

  • 70代 推奨最小サイズ … 16pt ⇒ 一般的には、小見出しに使うサイズ
  • 80代 推奨最小サイズ … 19pt ⇒ 一般的には、見出しや文書タイトルに使うサイズ

みなさんの事業所では、利用者様向け文書を、19pt以上のフォントサイズで作っていますか?

一度、いつもの文書を16ptで作ってみてください。職員さんと利用者の方が見て、それぞれどう感じたかを、職員のみなさんで共有していただけると発見があるのではないでしょうか。

すでに実際に19pt以上のフォントサイズが文書規定になっている事業所がありましたら、ぜひうかがわせてください。そして、文書作成のノウハウと工夫のあり方についてお話を聞かせてください。

私にとっては、そのくらい興味のあるテーマなのです。

実際に80代の人に聞いてみました

こちらからダウンロードできる資料を、知人の80代の人に見てもらいました。

健康状態は毎日一人で難なくお買い物や散歩に行ける状態で、介護とは無縁。好奇心旺盛。視力は近視と乱視あり、老眼はあるものの眼鏡不使用、最近は医師から白内障手術を勧められている状態です。


どのサイズの文字なら読みやすい?

  • 16ptなら読める
  • 頑張れば13ptでも読めなくはないけど、10秒で疲れる
  • できれば、15pt以上が良い

80代で視力に自信がない人で、19ptなくても大丈夫というのは意外でした。けど、16ptはないと、すぐに読むのを止めてしまうという結果になりました。やはり16ptは一つの基準になりそうです。

ただ、サンプル数1の話なので、あくまで参考までに…という具合でご理解ください。

一番読む文書をどう作る?

利用者が一番頻繁に目を通すのは献立表であるとよく聞きますし、そんな光景を目にしたこともあります。

それならば、献立表は読みやすく作って差し上げたいですね。

あなたの事業所の献立表は、16pt以上で作成されていますか?

16ptで作成した文書を横に置いて、比べてみてください。利用者のみなさんに意見を聞いてみてください。

実際に16ptで献立表を作成するとなると、工夫が必要になるかと思います。その工夫とセンスを見てみたいのです。どこかいらっしゃらないかしら。

「うちの献立表は読みやすいよ」という声をお待ちしています。

そういう事業所が増えていったら嬉しいと考えています。

(W)

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