緊急事態宣言が出て、今年度の第三者評価がどうなるか…

緊急事態宣言が出て、初めての朝を迎えました。みなさんご存じのように、東京を含む7都府県が対象地域です。

私はすでに外出を極力減らしているので、町の様子はニュースで見聞きするだけですが、普段より人通りが減っているようです。

今年度の第三者評価はイレギュラー対応になりそうです

福祉施設への訪問はできないことになっていますので、今年度の第三者評価にも影響があります。(いつ収束するか不透明なので、今後状況次第で変わることもありえます。)

事業所への訪問を行わない方法を取るようにとする通知が、本日改めて評価機構からありました。

訪問しないで調査するには

今日の話なので、まだ私個人の頭の中でぐるぐる回っているレベルですが、聞いていただけますか。当社では現時点で着手しているケースはなく、緊急事態宣言がいつまで続くか分からない時点での脳内シミュレーションに過ぎませんが。

契約締結、事前説明については、事業所のご協力を得て、訪問をせずに実施することは難しくないでしょう。

資料閲覧は、本来事業所から持ち出さないルールで行うもの。いつもご用意いただいている量を、訪問せずに閲覧することが果たして可能なのか。

さらに困難と思うのが、利用者調査です。

入所者みずから用紙に記入するアンケート方式にするか、または、「職員のいる部屋から退出」して、「テレビ電話」などを利用して、全入所者から行うようにという指示です。

正直なところ、うまくいくイメージが湧きません。

今まででお会いした入所者の方々を思い浮かべて考えると、アンケート方式が可能な方はひとつの事業所に2~3名くらいでしょう。ほとんどの方が、視力の問題だったり、筆記具で書く力がなかったり、認知症などの疾患で読み書きが不可能だったりします。だから、いつも聞き取り調査方式を採用しているわけですし。

聞き取り調査を「テレビ電話」(Skypeなどのビデオ通話ですね)に置き換える方法が可能なのかも疑問が湧いてしまいます。

まず、特養の入所者がビデオ通話でコミュニケーション可能なのかを、事業所の方と話し合わなくてはいけませんね。

ビデオ通話で調査するには

とりあえず参考になるデータか何かないかと調べてみると、英語の論文*がありました。

*V. Ball-Seiter, T. Marx, D. Meyer “Social isolation and telecommunicationn in the nursing home: A pilot study”, Gerontechnology 2011; 10(1): 51-58 (掲載サイト

この論文では、一般的に思われているのとは異なり、ナーシングホームの入居者は家族や友人とのビデオ通話に関心を持っていて、その割合は、家族や友人側と変わらない、というんですね。

そして前提として、プライバシー、トレーニング、サポートなどの問題は事前に対処する必要がある、と指摘しています。

ただ、この調査では、認知症の方は除外されています。

しかし、私の経験では、特養入所者の95%程度が認知症です。

プライバシーが確保できる場所に通信可能なパソコンと入所者だけを置いて、家族でも友人でもない知らない人と会話していただけるだろうか。しかも、対面でもなかなか注意を引くのが難しいあの設問で。各人の調査終了をどうやって職員に伝える? 移動の手間と時間のロスは? 1日に調査できる人数は? はたまた、事業所に、全入所者の事前トレーニングをお願いすることが現実的なのかどうか。

ビデオ通話で現実的に可能なのは、職員ヒヤリングであって利用者調査ではないと思えてしまうんですが、どうでしょうか。

フィードバックはビデオ会議でできそうですね。ただ、いつもよりも短い時間で行えるような工夫が必要かもしれません。

これは、繰り返しになりますが、今日の時点の脳内シミュレーションです。

実動するであろう夏以降は、状況が変わっていることでしょう。実践例が出ているかもしれませんし、柔軟な発想が共有されるかもしれません。事態が収束しているのが理想ですが、命を守ろうというこの時に楽観論はやめておきましょう。

当面は、自分が感染しない・させないことに留意しつつ、頭と心を柔らかくしていきたいと思います。

Web担当がお送りしました。

(Photo by kazuend on Unsplash)

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